れおの 写メ日記一覧
9月
密着
どっちの 心音か分からなくなるくらいに抱きしめて いよう よ 胸と胸のあいだに残っている僅かな隙間まで惜しくてもっと と 身体を寄せるあなたの熱が私へ移っているのか私の熱があなたを温めているのかそれすら曖昧になってしまうほど 近くに耳を澄ませばどく どく と 忙しない音がするひとつは私のものもうひとつはたぶんあなたのものけれどこんなに密着してしまえばもう区別なんて つかない呼吸まで釣られるみたいに重なって吐いた息をあなたが吸ってあなたの吐息を今度は私が受け取るそうやって何度も熱を交換して抱きしめて ぎゅ と 力が増すたび皮膚の下を巡る血まで熱くなる耳元に落ちる息首筋に触れる体温背中を辿る指先言葉なんてなくても胸の奥で鳴っているものだけは誤魔化せないからただ抱きしめたままふたりぶんの鼓動が同じところで鳴っているような錯覚に 溺れていたいそうしたらきっとひとりに戻ってからも私は まだ あなたの 腕の なか
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片隅
おはようございます朝 目が覚めて今日も一日が始まるんだなあとぼんやり 考えて毎日を 元気いっぱいに生きられるわけではなくて何でもないことで躓いたり一日が 少し重たかったり心って 思っているより ずっと繊細そんな日々のなか私のことを見つけてくださって変わらず優しく見守ってくださるみなさんへいつも 本当にありがとうございますあなたのおかげでもう少し頑張ってみようかな と次の一歩を出せる朝が ありますきっと自分では忘れてしまうくらい些細な優しさが知らないところで誰かの今日を支えていることがありますだからみなさんが私にくださった優しさによって世界の片隅にいるひとりの人間が今日もこうして朝を迎えていることたまに思い出してくれたら嬉しいですでもね優しい人ほど自分のことを後回しにしてしまうからみなさんも どうか無理だけはしないでください ねいつも ありがとういってらっしゃいまたここで 会えますように
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寝かせない
眠たくなったら 眠ればいいしどうしても眠れないなら無理に瞼を閉じなくてもいいと思っています好きな音楽を流したり本を数頁だけ読んだり冷たいお水を飲んでみたり意味もなくぼんやり天井を眺めたり夜は考え事をするにはあまりにも長い ね身体だけをお布団へ横たえても頭のなかだけはまだ何処かを歩き回っていて眠るには 素直になりすぎる時間ですけれど反対に何かを始めるには夜はあまりにも短い ねだからでしょうか夜になると ときどき身体のほうが記憶を先に見つけてしまうお風呂上がりのまだ熱を残した肌へひんやりしたシーツが触れて誰かの指先を思い出したり耳元へ落とされた声を勝手に再生したりもうここにはいないはずなのに触れられたところだけが熱を持ったように錯覚してしまう息を整えようとするほど乱れていったこと触れられるたびに身体から余計な力が抜けて頭のなかまで甘くぼやけていったこともう充分 と 思うのに離れられそうになると反射みたいにもっと近くへ寄りたくなる普段なら飲み込める言葉まで零れそうになるし恥ずかしくて隠したいはずなのにその瞬間の私をもっと見ていてほしくなる自分がどんな顔をしていたのかさえ分からなくなるくらいただ心地よさへ身体を預けてしまえる時間が好き考えることをやめて取り繕うことも忘れて最後には身体だけが正直になってしまうそういう私を見つけられると恥ずかしいのに 嬉しいの眠りに落ちる寸前まで髪を撫でられていたいし背中から抱き寄せられて逃げ道なんてないくらい近くにいてほしい夜くらいは 無防備でいたいのです欲しい 気持ちいい 離れたくないそんな単純なことしか考えられなくなった私を誰にも見せない夜の奥へ隠してしまいたい朝になったらまた何事もなかった顔をするから少しくらい欲深い私を 許して ね私もようやく そろそろ眠れそうですおやすみなさいせめて夢のなかでは朝が来ることさえ忘れるほど近くで私が眠ってしまう最後の瞬間まで離さないで
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気紛れ
雨 すごいですね窓の向こうがずっと騒がしくてさっきから雨音が途切れませんこんなに勢いよく降られると空にも機嫌の悪い夜くらいあるのねなんて 思ったりだから私たちだって毎日おなじ心で いなくていいのほんの些細なことで落ち込んでもう今日はだめだなんて大袈裟に思ったくせに好きなお菓子をひとつ食べたら案外 どうでもよくなってしまったりそれくらい 単純でいいと思うのです沈む理由には立派な事情なんて要らないし元気になる理由だって別に立派じゃなくていい甘いものがおいしかったとか好きな曲がちょうど流れてきたとか誰かから届いた一言が嬉しかったとかそんな小さなことでさっきまで曇っていた心がころっと晴れるならそれはそれでとても可愛らしい 生き方だって最近のお天気なんて晴れていたと思えば突然降って暑いと思えば風が冷たくて今日なんて空ごとひっくり返したみたいな大雨空ですらこんなに情緒が忙しいのだから人間の心だけに安定していなさい なんてずいぶん無茶な注文です悲しい日は悲しいままで機嫌の悪い時間があってもいいそして五分後には笑っていたっていい心変わりなんて自由でいいのでしょう大雨のあと雲の切れ間から急に光が差して運がよければ虹まで出たり ねだから今夜ちょっと沈んでいても明日の自分まで同じ気持ちだと決めつけなくて 大丈夫今はただ雨宿り晴れたら晴れたでそのときの気分でまた歩けばいいのですどうか皆さま雨とお足元にはくれぐれもお気をつけてこの雨が ぜんぶ通り過ぎたあとあなたの空にも何か ひとつ綺麗なものが残りますように
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交差点
恋人になっても家族になっても相手の人生の主人公はいつまでも相手のままでいてほしい知りたい傍にいたい嬉しいことは一番に聞きたいし悲しい夜には隣にいたいそうやって少しずつ相手の生活へ入り込んでいくことを私たちは親密になる と呼ぶのでしょうけれど親しくなればなるほど忘れてはいけないものもある気がします私が知らない あなたが いていいあなたの知らない 私が いてもいいひとりで考える時間も私とは関係のない場所で笑っている時間も昔から大切にしてきたものもこれから新しく見つけてゆくものもその全部がその人を その人に しているあなたの人生にはあなたの季節があり私の人生には私の季節があるいつも同じ速度で歩けるとは限らないし同じものを見て同じことを 感じられるとも限らないそれでもときどき道が重なって同じ景色の前で立ち止まれたらいい今日食べたものくだらなくて笑ったこと言葉にするほどでもない小さな出来事何年経っても妙に鮮明なたった数時間の記憶人生という長い物語の中ではそんなものはほんの数行にしかならないのかもしれませんそれでも私はあなたの物語の主人公になりたいのではなくてできるだけたくさんの頁に登場する人でありたい何度も名前が出てきてたまには少し間が空いてそれでも頁をめくった先でまた会える ような私の物語にもあなたがそうして居てくれたら嬉しいふたりでひとつにならなくてもいいあなたはあなたのまま私は私のまま別々の人生を生きているふたりがそれでも互いを選んで限られた時間を何度も分け合うそのほうが私はずっと愛おしいと思うのです写真だけが取り残されて私たちはまたそれぞれの明日へ 進んでだからこそ永遠なんて大袈裟な約束よりもいつかこの写真を見つけたときにあの日 幸せだったな と思えたなら それでいいそしてできることならそのとき開いているあなたの物語にもまだ私が登場していますようにほんの少しでいいから頁の隅に消えない 文字で
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硝子越
素敵なところへ連れて行っていただきました水のなかをゆっくり泳ぐ金魚を眺めながらこんなにも小さな身体にどうしてこんなに目を奪われるのだろう と赤 白 黒同じ金魚と呼ばれていても模様も形も泳ぎ方も それぞれ違って尾鰭をひとつ揺らすたび水のなかの光まで一緒にほどけていくようでした金魚の美しさは 長い年月のなかで人が この美しさを残したい と 選び育て 受け継いできたものでもあるそうですそれを知るとなんだか少し 浪漫がありますねたくさんの中からひとつに目を留めることもっと綺麗なものがあるかもしれないもっと珍しいものに出逢うかもしれないそれでもその瞬間に心を奪われたものを好きだと思って 大切にすること人と人との出逢いも少し似ているのかもしれませんこの街には数えきれないほど人がいて毎日 知らない誰かとすれ違っているのにその中から知り合って 言葉を交わしてまた会いたいと 思って今日だって私ひとりだったら見なかった景色を見て知らなかったことを知って隣に誰かがいるからこそ楽しいと思える時間がありました綺麗な金魚を見たことだけではなくてあれ綺麗だね と同じものを見られたことまできっと 今日の記憶になるのでしょう水槽の向こうで 揺れる赤を眺めながら綺麗だから 目で追ってしまうのか目で追っているうちに 特別になるのかわからなくなりました人も そうなのかもしれませんね何度も目で追って何度も逢って少しずつ知ってそうしていつの間にか大勢のうちのひとりではなくなる今夜 瞼の裏を泳いでいる赤がいつか名前のない記憶になっても私のなかでどうか最後まで綺麗なまま で
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