れおの 写メ日記一覧
9月
あおをこう
夜景を眺めているときふと好きな文章を思い出しましたどんなに深く憧れどんなに強く求めても青を手にすることはできないすくえば海は淡く濁った塩水に変わり近づけば空はどこまでも透き通る人魂もまた青く燃え上がるのではなかったか青は遠い色青は届かない色空も海も 青春もそう思うと青 という色には初めから少しだけ喪失が含まれているような気がします目にはこんなにも鮮やかに映るのに欲しいと思って手を伸ばした途端同じ姿ではいてくれないそして過ぎてしまってからようやくあれは随分と美しい時間だったのだと知る幸福もきっと似ています永遠にしておきたい瞬間ほど永遠にはならなくて留めておきたいものほど静かに過ぎていくだから私は何もかも手に入れなくてもいいのかもしれないと思うのです所有できなかったものまで失われたことにはならないから触れられなくてもあの日たしかに綺麗だと思った届かなくてもたしかに焦がれたそれだけで人のなかにはひとつの色が残るのでしょう窓の向こうに滲んだ夜を眺めながらそんなことを考えていました青は遠い色遠いままだからこそいつまでも青いのかもしれません
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こころ
目の前いっぱいのお花も選んでくださった贈りものもおめでとう と 言ってもらえることもひとつひとつが嬉しくて随分と贅沢な時間をいただいてしまったなあと思います本当に ありがとうございました歳を重ねるたび人に惹かれる理由は少しずつ複雑になってゆく気がします自分にはない強さを持っているひとに眩しさを覚れることもあれば自分にはない優しさに触れてこんなふうに在れたら と憧れることもある反対に自分とよく似たところを見つけた瞬間どうしようもなく親しみを覚えることもあります同じようなことで傷つけるひとだからこそわかる優しさがあったり同じものを大切にしているからこそ信じられる強さがあったり違うから惹かれる と似ているから惹かれる は矛盾しないのでしょうか自分にないものを持つひとからは知らなかった世界を分けてもらえて自分と同じものを持つひととは言葉にしきれない部分まで分け合えるそうやって誰かと関わるたび自分ひとりでは知ることのできなかった感情ひとつずつ 増えてゆくのだと思いますだからいただいたもののなかでいちばん嬉しかったのは綺麗なお花や素敵な贈りものだけではなくて私のために時間を使って私を思い浮かべて喜ばせようとしてくださったその心でした永遠じゃないからこそ愛しいものは愛しいうちにきちんと抱きしめておきたいのいつか記憶になってその記憶さえ少しずつ淡くなったとしてもあの日 幸せだったそれだけはどうか消えませんように
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ふかく
あなたに与えてもらうものは何だって嬉しい触れられたことも 求められたことも私のために生まれた衝動をそのまま私へ向けてもらえることもただ身体というものは案外つれないですねどれほど鮮明に残ったものでも時間が経てば薄くなって昨日まで 確かにそこにあったはずの痕さえ消えてしまうだから消えないところに残してほしいのふとした瞬間に思い出してしまう体温似た匂いに振り返ってしまう記憶耳の奥へいつまでも居座る囁き思い出しただけで身体の内側が熱を持つような感覚幸せも 体温も痛みも 匂いも 味も 声も目には映らないものほどいちばん深く残る気がしていますもっと覚えていてほしいもっと忘れられなくしてほしいそんな欲張りを許してしまったらきっと際限なんてなくてあなたが 私に残したいと思ってくださる限り私はきっと 喜んで覚えてゆくのでしょう消えてしまうものなら何度だって新しく覚えればいいいつか身体からすべて消えてしまっても瞼を閉じれば ちゃんとあなたを思い出せるくらい私のいちばん見えないところをあなたでいっぱいにしてほしいのです
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ゆるり
おはようございますもう九月!!!はやいものです新しい月になるとまっさらな予定表を前にして何かを 書き込まなくてはいけないような 気持ちになりますお仕事 学校 約束 目標 会いたいひと空白があるとまるで怠けているみたいで私は つい隙間まで綺麗に埋めたくなってしまうけれど予定表を埋めることと人生を満たすことはたぶん同じではない から何もしない午後も目的もなく歩く帰り道もぼんやり空を眺めている数分間も一見なんの役にも立たないようでいて心を生かすための時間なのだと思います人間は 機械みたいに動いている時間だけで出来ているわけではないから息を吐くことまで含めて呼吸であるように休むことまで含めて生きることなのでしょうまだ手に入れていないものまだ辿り着いていない場所まだ叶っていない願いそういう まだ は未来へ向かうための欲望ではあるけれどあまりそればかり数えていると今日ここにいる自分が置き去りになってしまうだから九月は未来の自分ばかりを愛するのではなく今ここでちゃんと息をしている自分にも喜びや休息を渡してあげてください ね美味しいものを食べるとか好きな音楽を聴くとか少し長く眠るとかあるいは会いたかったひとに会って体温の近くでどうでもいい話をするとか心というものはきっとそんなささやかなことで満ちてしまうものです忙しく生きるあなたも素敵だけれどふっと力の抜けたあなたも私は すきです余白くらい残しておきましょうそこへ偶然や幸福やちょっといけないことが入り込めるように九月も急がず 怠けずでも時々は 甘やかしながら今月も一緒にがんばりましょう ねっ今日を生きるあなたが今日のぶんだけ 幸せでありますようにいってらっしゃい
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よはく
失うものがない という言葉はどこか寂しく聞こえるけれど私は 悪いことだと 思いません両手が空っぽならそのぶん好きなものへ手を伸ばせる守るべきものが少ないなら少しくらい大胆な明日を選んでもいい遠回りばかりしてきた人には真っ直ぐな道しか 知らない人には見えない景色があります間違えた数だけ想像力が育って躓いた場所のぶんだけ他人の痛みにも気づけるようになるから ねひとりの夜なら誰かの好みに自分を合わせなくてもいい好きな音楽を流して好きな服を着て好きな時間に眠って人生そのものを自分好みに仕立て直せる寂しい と 決めつけなくてもいい身軽な身体ひとつで知らない街にも 知らない景色にもまだ名前のない幸福にも会いにゆけるでしょう何もない というのは欠けていることではなくて余白がたくさん残っているということまだ誰の色にも塗られていない余白へこれから何を描くのかは自分で決められるなんてわくわくしてしまいます人生にはまだ開けていない頁がたくさんあるから空いている場所にはこれから好きなものを好きなだけ置けばいいしまだ何もないならまだ何にでもなれるまだ誰のものでもない明日なら好きなだけ欲張っていい私は そう信じています信じてるよあなたにも私にもまだ知らない悦びが残っていますようにおやすみなさい
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くちべに
今月も素敵な出会いをありがとうございました出会うということはいつか失う可能性まで引き受ける ことでも それでも いいんですたとえ さよなら のあとでもあなたと食べておいしかったものは今もちゃんとおいしいし隣で眺めて綺麗だと思った景色はひとりで見ても やっぱり綺麗です居なくなれても記憶までは連れて行けない でしょう教えてもらったこと触れてもらって知ったこと何気なく交わした言葉やくだらないことで笑った夜好きになった味も 香りも 癖もそういうものだけが身体の何処かに居座っていつの間にか私という人間の一部になって忘れられないなら無理に忘れなくてもいい悲しみと一緒に幸福の抜け殻まで 抱いて生きてゆけば いいの今月 私を見つけてくださったあなた何度も 逢いに来てくださったあなたほんのひとときでも私の人生とあなたの人生を重ねてくださったあなたありがとうございました触れたぶんだけ私は少しずつ 変わったかな あなたにも 私の何かがほんの少し残っていたなら嬉しいそうして互いの人生に消し損ねた口紅みたいな痕を残せた なら
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あかいろ
赤い薔薇をいただきましたあなたに似合うのは 赤い薔薇だね ってなんだか とても嬉しい言葉花を貰ったことそのものより私を見て私という人間を思い浮かべてそのうえで 赤を選んでくださったことが嬉しかったのです白でもなく 淡い桃色でもなく 赤可憐というより艶やかで無垢というより少し毒があって綺麗なのに棘まできちんと携えて赤という色は不思議です ね愛情にも見えるし 欲望にも見える唇にも 熱にも 血潮にも見えるひとつの色なのに眺めているだけで随分と 生々しいですまして 薔薇なんて端正な顔をして咲いているくせに触れようとすれば棘があるのだからずるいですね綺麗なものはただ愛でるだけでは物足りないのかもしれません触れたい近付きたい香りを知りたい棘があると知っていてそれでも手を伸ばしたいそんな欲を起こさせてこそ美しいものなのかもしれない私も そう在れたらいいな優しく摘んでもいいし棘ごと強く握ってくださってもいい咲いているだけではつまらないでしょうどうせならあなたの目の前でいちばん淫らに咲かせてほしいの
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