れおの 写メ日記一覧
9月
まぶた
今年の夏はあなたと出会うことができてうれしかったです夏という季節はあんなにも眩しくやって来るのに去り際だけは いつも静かですね少しずつ陽が短くなって風の温度が変わって青々としていた葉もやがて色を失ってそうして秋は確かにそこにあった 夏 を少しずつ思い出に変えてしまいます季節が過ぎることにはいつだってほんの少しの 寂しさけれど 今年の夏だけは色褪せてしまう気がしないのあなたと交わした言葉もふと目が合って笑ったことも触れた体温も胸の奥に生まれた小さな感情まで写真よりもずっと鮮明に瞼の裏側へ焼きついています過ぎてゆくものを引き留めることはできないけれど忘れないことなら できるから夏が 終わっても いいから秋が来て 冬が来ていつか今日のことさえ遠くなったとしてもこの事実だけは 静かにそこに居てくれる今年の夏を好きでいられる理由をひとつ増やしてくれてありがとうもう夜も遅いから今夜はこの夏の続きを夢のなかで ねおやすみなさいまたあした
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どくみ
海月には毒があり薔薇には棘があるどちらもあんなに美しいのに美しいだけでは生きていない海月は 透けてしまいそうな身体で水のなかを静かに揺蕩って骨もなく 声もなく拒む術など知らないような顔をしてそれでも触れた指には 毒を残して薔薇も幾重にも重なった花弁は触れれば容易く傷んでしまいそうなのにその下には 細い棘私は毒も棘も嫌いではありませんむしろそれは美しいものが美しいままでいるためのひそやかな矜持なのだと思います海月は 掬えば掌から零れてしまうし薔薇も いつかは花弁を落とす美しいものほど永遠には触れていられないのでしょうだからせめて 咲いているあいだだけあなたの指に毒が残るほど忘れられない花でいたい
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なんども
名前を呼んで は忘れないで でも置いていかないで でもなくどうか私をあなたの中で死なせないで名前 はたった数文字の音なのにあなたの声を通った途端かわるの優しく呼ばれれば愛されたような気がして低い声で呼ばれればそれだけで奥が熱を持って少し息を含ませて呼ばれたなら触れられた場所を探してしまう同じ名前なのにあなたが呼ぶ私だけはほかの誰かが呼ぶ私とは違うのだから何度でも名前を呼んでその声で私を 見つけて似た音を耳にした夜眠れない午前二時理由もなく誰かのぬくもりが恋しくなった瞬間そんなときあなたの頭のなかで一度だけでも私の名前が鳴ったならそれは私の知らないところで私がもう一度あなたの中に生まれるということだからたくさん呼んでください甘くても切なくても少しくらい意地悪でもあなたの声で呼ばれるたび私はあなたの中に居場所をつくってしまいたいいつか触れられなくなる日が来ても声すら届かないところへ行ってしまっても名前だけがあなたのいちばん深いところに残っていたならそれだけで私はあなたの中で消えずに いられるから
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あおをこう
夜景を眺めているときふと好きな文章を思い出しましたどんなに深く憧れどんなに強く求めても青を手にすることはできないすくえば海は淡く濁った塩水に変わり近づけば空はどこまでも透き通る人魂もまた青く燃え上がるのではなかったか青は遠い色青は届かない色空も海も 青春もそう思うと青 という色には初めから少しだけ喪失が含まれているような気がします目にはこんなにも鮮やかに映るのに欲しいと思って手を伸ばした途端同じ姿ではいてくれないそして過ぎてしまってからようやくあれは随分と美しい時間だったのだと知る幸福もきっと似ています永遠にしておきたい瞬間ほど永遠にはならなくて留めておきたいものほど静かに過ぎていくだから私は何もかも手に入れなくてもいいのかもしれないと思うのです所有できなかったものまで失われたことにはならないから触れられなくてもあの日たしかに綺麗だと思った届かなくてもたしかに焦がれたそれだけで人のなかにはひとつの色が残るのでしょう窓の向こうに滲んだ夜を眺めながらそんなことを考えていました青は遠い色遠いままだからこそいつまでも青いのかもしれません
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こころ
目の前いっぱいのお花も選んでくださった贈りものもおめでとう と 言ってもらえることもひとつひとつが嬉しくて随分と贅沢な時間をいただいてしまったなあと思います本当に ありがとうございました歳を重ねるたび人に惹かれる理由は少しずつ複雑になってゆく気がします自分にはない強さを持っているひとに眩しさを覚れることもあれば自分にはない優しさに触れてこんなふうに在れたら と憧れることもある反対に自分とよく似たところを見つけた瞬間どうしようもなく親しみを覚えることもあります同じようなことで傷つけるひとだからこそわかる優しさがあったり同じものを大切にしているからこそ信じられる強さがあったり違うから惹かれる と似ているから惹かれる は矛盾しないのでしょうか自分にないものを持つひとからは知らなかった世界を分けてもらえて自分と同じものを持つひととは言葉にしきれない部分まで分け合えるそうやって誰かと関わるたび自分ひとりでは知ることのできなかった感情ひとつずつ 増えてゆくのだと思いますだからいただいたもののなかでいちばん嬉しかったのは綺麗なお花や素敵な贈りものだけではなくて私のために時間を使って私を思い浮かべて喜ばせようとしてくださったその心でした永遠じゃないからこそ愛しいものは愛しいうちにきちんと抱きしめておきたいのいつか記憶になってその記憶さえ少しずつ淡くなったとしてもあの日 幸せだったそれだけはどうか消えませんように
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ふかく
あなたに与えてもらうものは何だって嬉しい触れられたことも 求められたことも私のために生まれた衝動をそのまま私へ向けてもらえることもただ身体というものは案外つれないですねどれほど鮮明に残ったものでも時間が経てば薄くなって昨日まで 確かにそこにあったはずの痕さえ消えてしまうだから消えないところに残してほしいのふとした瞬間に思い出してしまう体温似た匂いに振り返ってしまう記憶耳の奥へいつまでも居座る囁き思い出しただけで身体の内側が熱を持つような感覚幸せも 体温も痛みも 匂いも 味も 声も目には映らないものほどいちばん深く残る気がしていますもっと覚えていてほしいもっと忘れられなくしてほしいそんな欲張りを許してしまったらきっと際限なんてなくてあなたが 私に残したいと思ってくださる限り私はきっと 喜んで覚えてゆくのでしょう消えてしまうものなら何度だって新しく覚えればいいいつか身体からすべて消えてしまっても瞼を閉じれば ちゃんとあなたを思い出せるくらい私のいちばん見えないところをあなたでいっぱいにしてほしいのです
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ゆるり
おはようございますもう九月!!!はやいものです新しい月になるとまっさらな予定表を前にして何かを 書き込まなくてはいけないような 気持ちになりますお仕事 学校 約束 目標 会いたいひと空白があるとまるで怠けているみたいで私は つい隙間まで綺麗に埋めたくなってしまうけれど予定表を埋めることと人生を満たすことはたぶん同じではない から何もしない午後も目的もなく歩く帰り道もぼんやり空を眺めている数分間も一見なんの役にも立たないようでいて心を生かすための時間なのだと思います人間は 機械みたいに動いている時間だけで出来ているわけではないから息を吐くことまで含めて呼吸であるように休むことまで含めて生きることなのでしょうまだ手に入れていないものまだ辿り着いていない場所まだ叶っていない願いそういう まだ は未来へ向かうための欲望ではあるけれどあまりそればかり数えていると今日ここにいる自分が置き去りになってしまうだから九月は未来の自分ばかりを愛するのではなく今ここでちゃんと息をしている自分にも喜びや休息を渡してあげてください ね美味しいものを食べるとか好きな音楽を聴くとか少し長く眠るとかあるいは会いたかったひとに会って体温の近くでどうでもいい話をするとか心というものはきっとそんなささやかなことで満ちてしまうものです忙しく生きるあなたも素敵だけれどふっと力の抜けたあなたも私は すきです余白くらい残しておきましょうそこへ偶然や幸福やちょっといけないことが入り込めるように九月も急がず 怠けずでも時々は 甘やかしながら今月も一緒にがんばりましょう ねっ今日を生きるあなたが今日のぶんだけ 幸せでありますようにいってらっしゃい
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よはく
失うものがない という言葉はどこか寂しく聞こえるけれど私は 悪いことだと 思いません両手が空っぽならそのぶん好きなものへ手を伸ばせる守るべきものが少ないなら少しくらい大胆な明日を選んでもいい遠回りばかりしてきた人には真っ直ぐな道しか 知らない人には見えない景色があります間違えた数だけ想像力が育って躓いた場所のぶんだけ他人の痛みにも気づけるようになるから ねひとりの夜なら誰かの好みに自分を合わせなくてもいい好きな音楽を流して好きな服を着て好きな時間に眠って人生そのものを自分好みに仕立て直せる寂しい と 決めつけなくてもいい身軽な身体ひとつで知らない街にも 知らない景色にもまだ名前のない幸福にも会いにゆけるでしょう何もない というのは欠けていることではなくて余白がたくさん残っているということまだ誰の色にも塗られていない余白へこれから何を描くのかは自分で決められるなんてわくわくしてしまいます人生にはまだ開けていない頁がたくさんあるから空いている場所にはこれから好きなものを好きなだけ置けばいいしまだ何もないならまだ何にでもなれるまだ誰のものでもない明日なら好きなだけ欲張っていい私は そう信じています信じてるよあなたにも私にもまだ知らない悦びが残っていますようにおやすみなさい
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