拝啓
お手紙やお花をいただくのが 好きです文房具屋さんで綺麗な便箋を見つけると用事もないのについ足を止めてしまいます繊細な花模様少しくすんだ色の封筒光に透かすと分かる紙の質感誰かに言葉を届けるという行為のためにこんなにもたくさんの美しいものが存在していることがなんだか嬉しくなるのたまに仲良し様からお手紙をいただきます本当に 本当に 嬉しいです書かれている言葉そのもの以上にその言葉が生まれるまでの私の知らない時間を愛おしく 思ってしまいます私がいない場所で私の知らない時間にふと思い出してくれたこと何を書こうか考えて言葉を選んでわざわざ自分の手で文字にしてくれたことその一連の営みのなかに私は一度も登場していないのに確かに私が存在していたそれが どうしようもなく 嬉しいどれほど親しくなっても相手の頭のなかを覗くことはできないし私の知らないところで思い出してもらえた回数を数えることもできないだからこそ 一通のお手紙はその見えない領域から 届けられた小さな証明のように感じるのでしょう私の知らないあなたの一日にほんの少し 私の居場所があったそれだけで 十分すぎるほど幸せなのですお花も同じお花は食べられないし生活を 便利にしてくれるわけでもないそれどころか水を替えなければいけないしどんなに大切にしてもいつかは枯れてしまう実用性という尺度で測れば少々贅沢で 不合理な贈り物ですでも私は その不合理さが好きただ 綺麗なものを見せたい喜ぶ顔が見たいこの色が似合いそうだと思ったそんななくても生きていける感情のためにわざわざ花を選んでくれるそれに お手紙には 少しだけ残酷な美しさもあります書かれた言葉は書いた人の手を離れた瞬間からそのときの気持ちを閉じ込めたまま 歳を取っていく人の心は移ろうし関係だって永遠とは限らないそれでも紙の上にはある日のあなたが私を大切に思ってくれた事実がその日のまま 残るのですだから花が枯れることも 便箋が黄ばむことも少しも 悲しいことばかりではないのです忘れないで と 縋りたいのではなくて私の知らないところにも私を大切にしてくれる世界が存在しているそのことを知るたびに世界を信じてみたくなるのですいつか 花の名前を忘れても封筒に触れた指先の感覚を忘れてもあなたが私のいない時間に私を想ってくれたその事実だけはいつまでも美しい ままだって私は 花束よりも恋文よりもそれを贈ろうと思ったあなたの心をいただいたのですから
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| 10/09(金) | 10/10(土) | 10/11(日) | 10/12(月) | 10/13(火) |
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| 要確認 | 要確認 | 要確認 | 13:00〜23:00 | 要確認 |







